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生成AI時代の臨床心理士(公認心理師)とAIの違い|AIカウンセラーでは得られない「健康なこころ」の育て方

  • tomokotsukakoshi
  • 9月1日
  • 読了時間: 4分

AIカウンセラーと臨床心理士(公認心理師)の違い


 AIが自殺幇助をするというニュースは定期的に流れてきます。また、AIに相談していたら、一度専門的なカウンセリングを受けた方がよいとアドバイスされたとカウンセリングにいらっしゃる方も増えてきました。そこで、今日はAI時代にあらためて心の専門家である臨床心理士(公認心理師)の役割と心の健康という視点で考えてみたいと思います。


近年、「AIカウンセラー」という言葉を耳にする機会が増えました。スマホ一つで相談でき、24時間対応・低コストという点では確かに便利です。一方で、AIカウンセリングには限界があります。AIは入力された文章に対してもっともらしい返答を返すことはできますが、「あなたという人の背景」や「関係性の文脈」まで理解することはできません。そもそもハルシネーションが前提でAIはもっともらしい回答しかできません


臨床心理士(公認心理師)との違いはまさにそこにあります。

  • AI:一時的な気持ちの整理に役立つ

  • 心理士:共感を通じて「感情を抱える力」を育て、問題解決まで伴走できる

この違いは、健康なこころを取り戻すために非常に大切です。


生成AI時代に臨床心理士(公認心理師)が担う役割と未来


AIの進化によって、心理支援のあり方は大きく変わりつつあります。しかし、変化のなかで臨床心理士(公認心理師)の役割はむしろ重要性を増しています。

AIは便利なツールですが、心の回復のプロセスは人との関わりのなかでしか生まれません。

未来の心理支援は「AI+人間」の協働かもしれません。けれど、その中心にいるのは常に「人と人との関係性を扱う専門家=臨床心理士(公認心理師)」です。


AI相談の限界と人に相談する意味



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AI相談は、気持ちを「一時的に吐き出す」場としては役立ちます。しかし、それだけでは「健康なこころ」を育むことはできません。

心の回復には、感情を否定せず抱える力が必要です。悲しいときには悲しみ、怒りを覚えたときには怒り、その感情を「自分のもの」として引き受けていく過程が欠かせません。

AIは「受け止めてくれる存在」の代替にはなっても、「自ら感情を抱えるプロセスを支える存在」にはなれないのです。だからこそ、人に相談する意味があります。


健康なこころとは?


ここで改めて、「健康なこころ」とは何かを考えてみましょう。

精神科医・松木邦裕先生は、こう定義しています。

喜ぶべきことは喜び、悲しむべきことは悲しみ、楽しむべきことは楽しみ、苦しくべきことは苦しみ、愛しむべきものは愛しみ、憎むべきものは憎むことができるこころ。

この定義はシンプルでありながら、非常に深い意味を持っています。

ポジティブな感情もネガティブな感情も、そのまま受け止められる状態こそ「健康なこころ」だといえるでしょう。


大切な誰かに裏切られて、絶望・悲しみ・自責・後悔・怒り…

これらの感情を持つことはおかしなことではありません。

苦しいからといって、これらを過剰に否定したり、過剰に体験したり、

はたまたどこかへ投げやるために相手にぶつけたり、自分を傷つけたり、

これらはこころが健康に機能していないときにおきることです。


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悲しいときは悲しむ

苦しいときは苦しむ

憎しみをもったときは憎む

怒りをもったときは怒る


感情を持つことは当たり前で、感情が悪い問題を引き起こすわけではありません。

感情を自分で持ちきれず、外に向かってもしくは自分に向かって放つときに問題が起きるのです。


臨床心理士(公認心理師)とのカウンセリングは、まさにこの「感情を抱える自分の心の器」を広げていく作業です。


AI時代でも臨床心理士(公認心理師)に相談する価値


「AIでも相談できるなら、わざわざ心理士に頼らなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には、生成AIに相談するプロセスで、自殺へ追い込まれ、実際に自殺してしまうという痛ましい事件は繰り返しおきています。


有限である命を持つ人間と無限のAI、相談者に対して忠実でハルシネーションが前提のAIと決して忠実ではなく専門性と人間性で感情をかかえる心の器を育てる臨床心理相談は大きく異なります。

AIは便利な補助ツールですが、「健康なこころを取り戻す道のり」を一緒に歩む存在には今のところなれないのです。


まとめ|AIではできない「健康なこころ」の回復


生成AI時代の今だからこそ、臨床心理士(公認心理師)の役割は際立ちます。

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  • 感情を否定せずに抱えること 感情の受容

  • 安心して誰かに共有すること 人間関係

  • 問題の根本に向き合うこと  主体性を取り戻す



これらを自分自身でできるようにするのは、AIではなく「人との対話」です。


健康的なこころを取り戻すことは、自らの精神的な主体性を取り戻し、現実生活での自律につながり、現実的な問題が解決されるというプロセスなのです。


健康なこころを取り戻すために、今こそ「人に相談する一歩」を踏み出してみませんか?


(※あくまで1つの私見であり、学術的な知見や正解としての見解ではありません。)

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